普通にサイトの小説ページの更新もしたいのですが、なんか良いネタはないものでしょうかねー。うーん。
巧言乱徳
博愛主義だとは思わなかった。
「ストライクーっ! 美人なオネエサンっ!」
「あぁ…っ、ほらあの子! モロストライクさ~っ!!」
「うひょうッ! あそこの二人組みヤバイって!」
女を見かけるたびにギャアギャアと喚きたてるラビに、俺は青筋を立てて一言。
「煩ェな」
うんざりした口調で言ってやってるっていうのに、ラビは聞く耳持たず。
いや、一応聞いているのか、騒ぎ立てるのをピタリと止めた。
けれど。
「心配しなくてもユウが一番だから!」
その一言で全てを片付けて、また女に目を奪われている。
『男だから仕方がない』というんだ、コイツは。
だからって、そう隣を通る女すべてに手を振ってなくてもいいだろう。
不機嫌な俺がドン! と乱暴に湯飲みを木のテーブルに置く。
ラビは仏頂面の俺のことをしげしげと見て、ニッコリ笑った。
「ユウが一番さ」
溜息が出る。
そんなお世辞とか褒め言葉とか、いらない。
それどころか、口先だけの言葉は自分の信用を地に落としてるってこと、
コイツは分かってるのか?
「お前な……、」
「あーっ! もう我慢できない!!」
いい加減、ラビを咎めようと口を開きかけた俺の言葉を馬鹿デカイ声で遮って、
ラビがテーブルの向かいから身を乗り出して、
「!?」
大通り脇のテラス席の、よく目立つ場所でキスされた。
「テメ…!」
「だって。ユウのことばっかり見てたら我慢できなくなっちゃうし」
今みたいに。だから女の子みて騒いでないと。
「口先ばっかりって思ったでしょ。違うって。ユウが一番だって心から思ってるから」
「うるさい」
街中でキスされたり、なんだか色々なものを踏みにじられた感じがする。
けれど、何故か気分は悪くない。
気分が悪くならない自分に、苛々する。
とりあえず、ヘラヘラ笑うオレンジの頭を引っ叩いた。
END
照れ隠し神田くんっ! あー! もう我慢出来n(略)